【桜の憂鬱】
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ひらひらと散る花びら。

政宗と桜を見るのは二回目だ。

去年は想い通じ付き合い始めたばかりで二人の間に微妙な空間はあったが紅梅のような政宗の頬に視覚的な物だけだと思った。



しかし今年は…

「政宗、この団子うまいねぇ。どうしたんだい?」

「成実が作った。」

「ほ〜〜、あいつ意外な特技あんだねぇ。
聞いときながら片倉殿だと思ってた。」

「はぁ。」

「……。」

「……。」


なんだ…この雰囲気……

耐えられず2人の間に鎮座するおぼんをどかし政宗の腰に手を回して強引に引き寄せればバランスを崩し倒れてくる。

小さな顔を両手で覆い赤くなっているであろうとのぞきこむが、



…怖っ……


政宗は明らかに睨んでいた。

機嫌をとろうと無意識的に自分の分の団子を政宗の口に押しつける。大食漢甘党の政宗はぺろりと平らげたが引き続き睨み続ける。

少しの沈黙。


「ぅっ…」

政宗の口から発射された団子の串が額に突き刺さった。



……何を怒っているんだ…

約束を破るようなマネはしてない筈…

していればこうやって並ぶことすらしてくれない。


政宗の事は本人以上に詳しいと自負しているが、やっぱり言葉にしてくれなきゃわからない。

「………政宗、情けないが薄馬鹿な俺に示唆願いたいのだか。
何か気に入らないことがありゃ言って欲しい。」

数秒目を合わせ
すぅ、と桜を指す。


…………………、

!!

政宗に惚れる前…あの木に吊したな……政宗……

仕官し始めた頃稽古によく付き合わされた。
その時に気を感じる稽古と言い目隠しをさせ、その隙に吊した。もちろん悪戯だ。

てっきり手足をばたばたさせ『ばかめー!』とでも叫んでくれるかと思ってたのに微動だにせず巨大なため息の後に

「…まぁ、餓鬼の悪戯くらい許してやるわ。
しかしな前田慶次、わしがほんの少し自尊心を折り卑怯な手を使えば貴様に冤罪を被せもっと良い格好にしてやれる立場だと覚えておいた方がいいんじゃないか?」

まったくつまらない反応にムキになりさらに隣に綱元さんを吊した。

綱元さんリアクションはそりゃあ良く、むしろそれに政宗はキレた。
大人を蹴って泣かせる子供の姿がこれほどまで面白いとは知らんかったと窒息するほど笑い、政宗はさらに機嫌を悪くした。

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