1/6ページ目 風の音が鳴るほどではないが大きな雪つぶてが夜の黒を己の色に染めたいかの様に忙しなく空から落ち続ける。 そんな奥州の凍てつく寒さの中除夜の鐘なんて突く者は居なく静かな大晦日、元々大きな布団に二人身を寄せあい止めどなく舞う雪を見つめていた。 すると何調べか知らないが成美が新年の瞬間の祝い事を喚く声が近づく。 当たり前に政宗の部屋にも祝いに来てこちらも言葉を返せば二人の顔を交互に見つめ、意味ありげに笑いお邪魔しましたと襖をしめた。 またどたどたと騒がしく祝う声が聞こえ、やがて遠のいていく。 呆気に取られた顔を見合わせ、吹き出す。 「あー、成美の言うことを信じて。明けましておめでとうございます…っと。」 「あぁ…新年の御慶めでたく申し納めまする。っと?」 口端が緩む。 わぁと歓声が遠くで聞こえる。祝い回った成美が宴会場に戻ったのだろう。 本当は自分達も呼ばれていたが政宗が酷く疲れているから先に眠ると言うので新年一人で迎えるのは寂しいだろうと慶次もついていった。 寝ているから寂しいも無いと返す声に周りは苦笑した。 しかし慶次は建て前と分かっている。現に政宗は一睡もする事無く会話を続けていた。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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