1/4ページ目 空気も柔らかな桜の季節、小さな想人は俄かに不機嫌になる。 生命芽吹くきらめいた季節だというのに何故か。と、皆はやはり捻た方だと苦笑いをするが自分はその理由を知っている。 このまま暖かくなり続けると思っていたのだが、今日は一枚多く羽織るくらいでは少し足りないほどに寒い。 構って頂く理由も決まったし、軽く踊るような足取りで政宗の自室へと向かう。 「………あん? あ、ああ…! さ…寒い…のか…さむい…………………よ…な……!」 雪国の主で行水と乾布摩擦が日課、戦場では凍牙を発生させ絶好調の時なんかはあたり一面氷漬けにする。 その政宗が寒いなど、この世が深い眠りにつく位の気温ではないかと思う。 さらに今はけして厚くない布に二の腕まで袖を捲り足の出た格好で、何を言うと笑いがこみ上げたがこらえた。 これは好機だからだ。 政宗の顔は暑そうに真っ赤になっている。 「なぁ。 春に浮かれて早々、冬の物は仕舞っちまったんだがどうも俺ぁ、寒いのは苦手でねぇ。」 本当は然ほど気にしないのだが。 「こう寒くっちゃ体が固まって何も出来ん。」 政宗にずいと近寄る。 「う、うむ。」 本来、理由などなくても擦り寄っていい権利は持っているはずなのだが、いちゃつきたい理由だけでさわろうとすると真っっ赤な顔でのかされてしまう。照れ隠しの暴力と共に。 防御不可能な至近距離からの独眼竜光線は本当に焦げる… が、政宗は甘える言葉を足すと素直にさわらしてくれる。 書を読むちいさな肩に後ろから頭を預けさせてもらう。 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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