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惑星ベジータに隕石が激突した。ベジータが任務のため星を離れてほんの数週間後のことだという。
隕石は強い磁気を帯びていたため人工衛星の測定数値に誤りが出たらしい。警報は発せられなかった。そもそもそんな衛星も、観測基地さえほとんどない辺境の星だった。

最寄りの惑星フリーザNo.21は、惑星ベジータの爆発による磁気嵐に見舞われ正常な交信ができない状態だと知らされた。ベジータは生き残ったサイヤ人たちが集まっているという宇宙ステーションの一室に案内された。白い椅子に腰かけた2人の男が、彼が部屋に入ってくるのを見つめていた。
「ベジータ、王子?」
髪の長い方の男が前かがみの姿勢から体を起こし、正面に立ったベジータに躊躇いがちに声をかける。
背が高いので大人の男かと思ったが、よく見れば2人ともまだ若かった。もっともベジータにははっきりとした年齢は分からなかったのだが。特に坊主頭の大男の方は、ほとんど大人と変わりがないように見えた。

「俺はナッパだ。こいつはラディッツ」
坊主頭が親指で隣の男を指さした。
「俺たちの星がなくなっちまった。信じられねえぜ」
大男が首を振った。ラディッツが頷いて口を開く。こいつの顔はたしかに見覚えがあった。
「ラッキーだったよな。任務がなきゃ俺たちも今頃…」
「本当に、なくなったのか?」
ベジータはまだ半信半疑だった。だが返ってきたいくつもの情報に、事実と認めざるを得なかった。磁場の異常、飛び散った無数の岩石、他の星から観測された爆発の映像。生き残ったのはどうやらここにいる3人と、遥か遠い星に送られた下級戦士ラディッツの弟だけらしいということも。

「お前、上級戦士なんだってな。俺はお前ぐらいチビの頃から星を離れてたんで知らなかったぜ」
ナッパの声には挑戦的な響きがあった。ラディッツは床を見つめて居心地悪そうに身じろいだ。

ベジータの方はナッパの名前を知っていた。実を言えば、他の惑星での任務の際に遠くから姿を見かけたこともあった。
上級戦士のエリートで並外れた怪力の持ち主と噂されていたが、フリーザ軍の行う階級審査は受けるものの、惑星ベジータでの試練の儀式には参加したことがないので実力の程は不明だった。儀式に出ていないということは、年は16か17だろう。

「…これからどうする? ずっとここにいる訳にもいかないよな」
ラディッツが口を挟んだ。
「臨時じゃなく、長期の契約にすれば居られるぜ。なあ、王子様?」
ベジータはにやりと笑った。こいつはどうやら力比べがしたいらしい。
「言いたいことがあるなら言ったらどうだ?」
「星がなくなっちまったなら、王族ったって意味がねえよな? 最初にはっきり決めておこうぜ」
ナッパは同じく笑って立ち上がった。はるかに高い背丈を利用して、上から威嚇する。

「俺は少なくとも、俺より弱い奴の下につく気はねえな」
ベジータは鼻で笑った。
「じゃあ、試してみろよ」

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