「ドドリア様、先程サイヤ人から次の半期の宇宙船貸与の希望内訳を受信しました。これまでに例のない大型輸送船を希望しておりまして…。フリーザ様にご報告申し上げたいのですが」 画面の中で、惑星フリーザの通信士が緊張のためか汗をかきながら報告する。ドドリアは送信されてきた書類をフリーザに手渡した。 「いよいよですね」 「やっと暴れられるってわけだ。待ちくたびれましたぜ」 ドドリアは手指の関節を撫でさすり、舌なめずりせんばかりだった。 フリーザは数万光年離れた惑星での戦いを終え、密かに惑星フリーザNo.21に帰還していた。ドドリアの召集した小部隊も装備を整え、いつでも出動することができる。 「現在惑星ベジータを離れている戦闘員の名簿はどうなっていますか?」 フリーザの問いにドドリアはすかさず太い指でキーを叩き、サイヤ人の詳細なデータを画面に表示させた。 「ふむ…、少ないですね」 フリーザは一瞥して呟いた。その言葉のとおり現在星を離れているのは、下級戦士が2名、上級戦士が1名だけ。しかも3人とも20歳を超えておらず、うち1人は幼児だった。 「…フリーザ様?」 長い沈黙にドドリアが呼びかけた。フリーザは思案気に呟く。 「子供はいいかもしれませんね。大人よりはいくらか従順でしょう。しかしこの程度の能力では戦闘員として大して役に立ちそうもない」 フリーザはコンソールに手を伸ばし、次々と画面上にサイヤ人の情報を表示していった。ある1ページでその手が止まり、しばらくそのデータを眺める。唇の端を持ち上げ、笑みを浮かべてこう言った。 「そう、これがいいでしょう」 ベジータは密林の中を出せる限りのスピードで飛び回った。上級戦士の資格を得たあの日。惑星ベジータの名前を得た栄光の日から、彼はほとんど仲間の元にも戻らず、密林に篭って鍛錬を続けていた。 複雑に入り組んだ枝やツルを避けてジグザグに飛行し、時折目に入る小動物を狙い撃ちにした。自分に課した数だけ獲物の急所を撃ち抜くことができると、次は大木の枝をばねに高く飛び上がった。密林の向こうに見える山並みの、赤茶けた岩肌に向かって、両手を重ねて集中させたエネルギー波を次々に発射する。爆発と煙の後に崩れ落ちる岩山を見て、彼は吠えるように笑った。 父王の顔が目に浮かぶ。 「今なら勝てる! 今なら! 俺の力は底なしだ!!」 この日彼は、人生の最初から続いていたひとつの階段を上り詰めた。明日からは違う地平が見えてくると、誰に言われずともわかっていた。 ←戻 次→ <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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