無知カラス

烏揚羽 番外編―無知カラス―
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その昔、一羽のカラスが生まれました。
そのカラスは不思議なことに、一年経っても二年経っても雛のままでした。両親が亡くなった後もそのカラスは雛でした。食べるものがなくても死なないのです。十年後、雛はやっと小さなカラスになりました。
しかし、やはりというか、カラスは仲間に嫌悪され、いじめられ、一人ぼっちでした。カラスはどんなに傷ついても死にませんし、老いもしませんでした。仲間はそのカラスを不死身のバケモノと呼び、ますます疎遠になりました。
そんなある日。不死身カラスの元に、暇を持て余した悪魔がやってきました。
悪魔はカラスに囁きます。

『お前の願いは何だ?対価を払えるならば叶えてやろう』

と。
一人ぼっちのカラスは考えます。そして、カラスは悪魔に答えました。

『僕は人間になりたいんだ。どんな対価でもはらうよ。僕を人間にして』

悪魔は言います。

『いいだろう。ただし、対価は重いぞ?』

『はい。人間になれるのなら何でもします』

カラスは意気込んで言いました。悪魔は笑います。

『いいだろう。では人間にしてやる。対価は―――』

カラスは人間になることができました。
しかし―――

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